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独立時計師コンスタンチン・チャイキン、Wristmonコレクションに新作を発表
独立時計師コンスタンチン・チャイキンが、Wristmonコレクションに新たな2モデル、「ジョーカー・アイアンマスク」と「ジョーカー・ゴールデンマスク」を加えました。 古来より仮面は、素顔や感情を隠し、特別な役割や象徴的な存在を表現するために用いられてきました。神話に登場する“鉄仮面”や、演劇におけるアルターエゴなど、その用途は多岐にわたります。 チャイキンは仮面を「隠す」ための道具としてだけでなく、「魅せる」装置として再解釈。大胆に変化する文字盤が“仮面”となり、複雑なムーブメントを覆い隠しながらも、かえってその精巧な内部機構への関心を引き立てています。 「ジョーカー・アイアンマスク」と「ジョーカー・ゴールデンマスク」は、時計という枠を超えた、知性と遊び心の融合です。
仮面に宿る機械美と芸術性
このモデルにおいて、チャイキンは独自のキャラクター“Wristmon”に、アヴァンギャルドとクラシックの融合という新たな魅力を与えました。 彼が開発した“ジョーカーインディケーション”は、マスクの表情を模したユニークな文字盤上で時刻を表示する革新的な機構です。デザインには18世紀啓蒙時代の懐中時計を彷彿とさせるクラシカルな装飾技法が巧みに取り入れられています。 2つの新モデルでは、マスクの“目”が時・分表示のインジケーターとなり、“笑った口元”が曜日を示すスケールとして機能。この構成は、チャイキンの代表的なデザイン言語である「笑うジョーカー顔」を象徴するものです。 文字盤中央には、黒染めスチール製の装飾リング(瞳孔)を備えた針が配され、曜日表示には赤い長方形の針が用いられています。ムーブメントの構成要素も“顔”の一部としてデザインされており、たとえば時分輪列のブリッジは“眉毛”のように、曜日表示ブリッジは“鼻”のように造形されています。その中央には大粒のルビーがセットされ、20世紀初頭の高級懐中時計に見られる中心石へのオマージュとなっています。 その他のパーツも機械的な役割を持ちながら、視覚的に魅力的なミクロの世界を形成し、ジョーカーインディケーション全体を精密に駆動しています。
オープンダイヤル・Wristmonの誕生と進化
チャイキンが“スケルトンダイヤル(オープンダイヤル)”を採用したWristmonの構想を初めて描いたのは2020年。 このアイデアは翌2021年、チャリティーオークション「Only Watch」のために製作された一点もの《Martian Tourbillon》で初めて具現化されました。さらに2022年、ファースト・ジョーカー誕生5周年記念モデル《ジョーカー5》にもスケルトンダイヤルが採用され、表現が一層洗練されました。 この時期、チャイキンは並行して「ジョーカー・スケルトン」と呼ばれる別のデザイン案を構想。その成果として2023年には、ロジウムコーティングによるモノクローム仕様と、ゴールド調のダイヤルマスク仕様という2つのバリエーションが誕生し、《ジョーカー・アイアンマスク》《ジョーカー・ゴールデンマスク》と名付けられ、量産に向けた準備が進められました。 しかし同年、チャイキンは超複雑機構を搭載したWristmon《スターゲイザー》の開発に専念するため、このプロジェクトはいったん保留に。《スターゲイザー》では前後両面にダイヤルを持つ二面構造のオープンダイヤルを採用し、ブランドの表現力をさらに拡張するモデルとなりました。 そして2024年、チャイキンは《ジョーカー・ゴールデンマスク》プロジェクトを再始動。同年のOnly Watch 2024にて、そのデザインをベースとした一点もの《ジョーカー・サンドマン》を発表し、ムーブメントにはLa Joux-Perret製 G200キャリバーを新たに採用。ジョーカーインディケーションのモジュールもアップデートされました。 そしてついに2025年、《ジョーカー・アイアンマスク》《ジョーカー・ゴールデンマスク》の2モデルが正式リリースされました。

伝統装飾技法とアヴァンギャルドの融合
「ジョーカー・ゴールデンマスク」と「ジョーカー・アイアンマスク」のダイヤル=マスクには、チャイキンらしいアヴァンギャルドなデザインと、18〜19世紀の懐中時計に見られる伝統的装飾技法が融合しています。 ムーブメントの地板やブリッジはフロスト仕上げ(霜模様)をベースに、モデルごとにゴールドメッキ(ゴールデンマスク)またはロジウムコーティング(アイアンマスク)を施し、さらにサンドブラストによる微細な粒面装飾が加えられています。 特に《ジョーカー・ゴールデンマスク》は、温かみのある金色の輝きが18世紀末〜19世紀初頭の高級懐中時計を想起させる意匠となっており、一方の《ジョーカー・アイアンマスク》は、ステンレススチールケースとロジウムの冷ややかなモノクロームトーンが、17世紀中葉のピューリタンスタイル懐中時計を現代に蘇らせたかのような雰囲気をまとっています。 また、ハイエンド・ウォッチメイキングの証とも言える精緻な部品仕上げも特筆すべき点です。スターギア、エキセントリックカム、レバー、板バネなどのスチール部品には、縦方向および円形方向のヘアライン仕上げ、面取りと鏡面ポリッシュ、さらにホイール軸やピン先端の球面ポリッシュ(ドームポリッシュ)までが施されており、随所に職人技の真髄が宿ります。

芸術を完成させる、鮮やかなアクセント
両モデルには、時計全体の美意識を高める印象的なディテールが施されています。たとえば曜日表示針の赤い先端、文字盤中央に輝くルビー、そして時・分を示す“瞳”の中心にあしらわれた青焼きスチール製のリングなどです。 これらのアクセントは、18世紀啓蒙時代の装飾芸術の頂点に、現代的な美意識を融合させた、コンスタンチン・チャイキンならではの表現と言えるでしょう。 伝統と革新、機構美と遊び心——そのすべてを内包するこの時計は、まさに現代機械式時計の芸術作品です。
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