コンスタンチン・チャイキン
古都サンクト・ペテルブルクが生んだ独学の天才
独立時計師コンスタンチン・チャイキン
「独立時計師」とは、どこの時計メーカーにも所属しない、独自のアイデアと美意識を持つ芸術家であり、卓越した時計技術からどこにもないユニークな機械式時計を開発・製造できる最高峰の職人たち。手にした人を驚かせ楽しませ感動させる「時の芸術品」を作り続ける「時計業界のエンターティナ−」。
彼らが世界から注目されるきっかけになったのが1985年のAHCI(独立時計師協会)、通称アカデミーの結成だった。1990年代に入ると機械式時計は腕に着ける最高峰の美術工芸品として、機械式時計再び評価され世界的なブームに。以来、AHICに所属する独立時計師たちは時計業界で唯一無二のアーティストとして、また新技術の開発を担うイノベーターとして活躍を続けている。
コンスタンチン・チャイキンは2016〜2019年、このAHCIの代表を務め、2020年2月現在、時計に関する79の特許と62の実用新案を持つ、時計界をリードする時計師のひとり。ロシア・サンクトペテルブルクで1975年に生まれたチャイキンは驚くべきことに、時計に関する専門教育を受けたことのない独学の時計師です。サンクトペテルブルク電気通信大学で無線工学の学位を取得しエンジニアとして働いていた彼は2003年、28歳のとき、サンクトペテルブルクで開催された「ブレゲ展」で、時計史上最高の天才アブラアン=ルイ・ブレゲ(1747-1823)の作品を鑑賞。そのメカニズムや美しさに触発されて機械式時計作りに取り組み、またたく間に名を上げた異色の天才時計師です。
ロシア人時計師として数々の驚くべき作品を世に送り出してきたチャイキン。彼が世界でその名を知られるようになったきっかけは2017年、当時世界最大の時計宝飾フェアだったバーゼルフェアでした。ここで彼が発表した「リストモンズ」コレクションの原点、最初の限定モデル「ジョーカー」が、世界の時計関係者から注目されたのです。
すぐに「クラウン(道化師)」を制作し、さらに注目されることになります。
そしてこの「クラウン」は、2018年「時計界のアカデミー賞」と呼ばれるジュネーブ・ウォッチ・グランプリ(GPHG)の「オーダシティ(大胆さ)」部門賞を受賞。時刻をユーモアたっぷりの顔で知らせてくれる、誰でも笑顔にしてしまうこのリストモンズから、時計愛好家も絶賛する超絶メカニズムのユニークピースまで、その多彩なクリエーションをお楽しみください。